彼女は100万円あげたいらしい

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「……マユ様から離れろ」  これはスイッチ入ったわ。あたしは心の中で合掌する。  その3年生に歩み寄ったお付きの彼は、相手の手首を思いっきりねじ上げた。 「イテテテテッ」 「てめえっ」  ドカッ、バキッ、パチンパチン。  オーバーに言うとこんな感じで、お付きは秒で4人組を撃退してしまった。ちなみに最後のは、あたしが子分の男子達(クラスメイト)を狙って輪ゴムで援護射撃した音。弓道部としてできることはやった。 「お嬢様、お怪我はありませんか?」 「2人とも、一体どうしたの?」 「どうしたのじゃないから」  ため息がもれた。  人工芝の屋上に残っているのはあたし達3人だけ。もう授業がスタートして5分ほど過ぎてしまったが、聞くなら今の内だと思った。 「マユ。何で100万円なんて言い出したの? 変なこと言うのはいつものことだけど、今回はちょっと行き過ぎだわ」 「……」  お嬢様はセーラー服の胸ポケットから紙切れを取り出した。見て、と渡されたので広げてみる。 「これは……」  
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