第①話 祖父からのプレゼント

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「おじいちゃん遊びに来たよ!」 2012年12月24日、 この日6歳になる矢立あきらは、 元気よく研究所でもある祖父宅に遊びに来ていた。 あきらの祖父、水戸宗月(みと・そうげつ)博士は、 戦時中から兵器開発に勤しみ、 戦後日本のロボット工学の基礎を設立したものの、 オカルティズムに傾倒していき学界を追われて、 今は鎌倉の山奥にある研究所で独りで開発研究しているのだ。 そんな経緯はともかく、 あきらにとっては色んなおもちゃを作って遊んでくれる、 良いおじいちゃんである。 「ヒヒヒヒ!よく来てくれたのう! お前の誕生日祝いに凄い物を造っておいたぞい!」 「本当!?一体なんなんだろ?」 あきらの父である矢立恥麿(やたて・はじまろ)は、 陰陽師の仕事に忙しいと言いながら家庭を顧みず、 職場で浮気して愛人ほど我が子を可愛がっていないし、 母の矢立晴美は愛想を尽かして出て行ってしまった。 幼稚園でも中々馴染めず友達もいなし兄弟もいないので、 祖父が唯一の遊び相手である。 「ヒヒヒヒ!それは見てのお楽しみ! さあ地下の格納庫に行くぞい!」 「わぁい!わくわく!」
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