10.僕が君の指になる -真人-

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「一度、姉ちゃんもしてみる? シャーペンに、ふわふわの握りやすくしたスポンジまいて文字書いてみ? 慣れるまで結構、しんどいてよー」 なんて笑いに変えるように振舞う。 そんな瞳矢を見ているのが苦しくて。 「そんなの私もやったことないわよ。 だったら今度、 何かの書き物するときに瞳矢のペン借りてやってみるわよ。 私がすらすらーっと書けたら、 瞳矢が宿題に間に合わなかったのは瞳矢が悪いってことよねー」 なんて笑い返すように和羽姉ちゃんも切り返した。  そんな切り返しに瞳矢は、笑ってた。 僕だったら、どう言葉を返していいかわからなくて、 何も言えないまま黙ってたかもしれない。 「さっ、二人とも学校行ってきなさい。 今日は冬が帰ってこない日だから、 私も久しぶりに音羽と食事してくるから。 夕飯だけは作って出かけるから、 母さんが帰ってきたら温めて一緒に食べて」 そう言うと、 和羽姉さんは僕たちを家から送り出した。 まっすぐに駅まで向かう僕と瞳矢。 自宅の最寄駅から電車に乗って、 その後、学校まで徒歩で向かう香宮学院。
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