10.僕が君の指になる -真人-

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短い間、咲夜と暮らした中で 僕にも闘争心があったことに気が付いた。 そんな僕自身に気づかされた鬼火。 気が付いたら、3分少しの時間はあっという間に過ぎて、 僕は最後まで演奏を終えていた。 観客がないまま演奏していた僕の傍には、 気が付いたら輪が広がっていて、 拍手が広がってた。 「真人くん、  やっぱり神樂さんの息子さんなのねー」 そういって、浦和さんが話しかけた。 「あっ、ごめんなさい。 父の部屋に行かないとでしたね」 慌ててピアノの蓋を閉めて、 演奏を聞いてくれてたと思われる人たちに、 小さくお辞儀をすると逃げ出すように、 その場所を後にした。 「あらっ、真人くん。どうして逃げるの? ピアノ素敵だったわよ。 指が鍵盤の上で踊っているみたいね。 神樂さんが演奏していたのも凄かったけど、 真人君も凄かったわ」 純粋な思いで伝えてくれる浦和さん。    だけど僕の音色はまだ完成していない。 そして今は、この音色を完成すべきなのか、 それを後にしてでも、 僕が瞳矢の指になる……のがいいのか悩んでる自分がいる。 無心になってピアノを演奏しても、 答えは出なかった。
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