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エレベーターに乗り、父が待つ部屋へと向かうと、
白衣を脱いだ父がソファーに腰かけて待っていた。
「真人、階下が賑やかだったね。
昔、神樂が演奏してくれていた時代が懐かしい。
また何時でも、真人が演奏したいときに
演奏してくれるといい。
時には神樂がしていたみたいに、
患者さんたちからのリクエストを聞いて
演奏するのもいいかも知れないな」
そういいながら、父は懐かしそうに目を細めた。
「父さんは病院でも、愛の夢を演奏してもらったの?」
「父さんにとって、神樂が奏でる愛の夢は特別な曲だからな」
「そう。
なら、今度は僕も演奏しようか?」
「あぁ、楽しみにしている。
さて、聞かせてくれ。最近の真人の気持ちを」
そう言うと父は、僕が話し出すのを静かに待つ。
最近は、ダンプカーが走って揺れても、実際の地震で揺れても
なかなか発作を起こしづらくなったこと。
だけど檜野の家にいて、
瞳矢との距離感、瞳矢との接し方に悩んでることを吐き出す。
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