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「真人、ALSと言う瞳矢君の病気にまつわる資料は
前にも勉強したね。
そのうえで、真人は瞳矢君と過ごすことを選んだ。
今は逃げ出さずに、心のままにつきすすみなさい。
ただ悩みぬいた先の道で、迷路になって戻って来れなくなったら、
その時に私は力になろう。
今は真人が、瞳矢君の為に考えて動くことが大切だ。
薬はまた少し調整しておこう」
「……父さん、檜野の家にいて
冬兄さんが沢山抱え込んでるのが見てて伝わってくる。
だから……」
「あぁ、冬生のこともちゃんと見ている。
真人は心配しなくても大丈夫だ」
父のその言葉に、目を閉じて頷いた。
「私ももう上がる時間だ。
真人、檜野家まで送ろう」
そう言うと父も鞄を持って帰宅準備をする。
父の電話で車が病院の裏口へと横付けされて、
僕は父の車の助手席へと乗り込んだ。
父の車内は、
いつも母さんのピアノの音色で包まれていた。
後部座席に体を預けるように、
僕はその音色のゆりかごに包まれて
眠りの中へと誘われていくみたいだった。
気が付いたら
檜野の家の前で父に体を揺り起こされた僕。
慌てて体を起こすと、
瞳矢たちも帰宅したばかりのようだった。
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