2話

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 次の日。帰宅して一瞬ドアノブを持ったまま躊躇ったが、気合い入れて部屋に入ると、今日は部屋の様子は変わらぬようだった。 『おかえりなさい! ご主人様』  嬉しそうな表情作ったゴトー君が出迎える。 「うん、ただいま」  チカはキョロキョロ室内の様子を窺ったが、大丈夫のようだ。掃除ロボはまたひっくり返されてはいるが。  ホッとして小さなテーブルに座ると、すぐにゴトー君がコーヒーを入れてくれた。インスタントなので粉とお湯入れるだけなのだがなぜか「おおっ」と感動してしまった。  続いて、電子レンジの動く音がしてしばらくすると、湯気の立つナポリタンが卓上に置かれた。 「やるじゃんゴトー君」  レンジでチンして皿盛り付けるだけなのだが、昨夜のことがあるので感動だ。  疲れて帰ってきて、自分で動かず温かいものが出されるのがこんなに気分を上昇させるのかというくらい、チカはご機嫌にコーヒーで喉を潤わせて、ナポリタンに手をつける。  その様子をゴトー君はじっと直立不動のまま見守っていたのだが。 『ご主人様、ボクはもっといろんな事が出来ます。もっとボクを使ってください』 「おっ? 自らプレゼンするの? いいね聞こうか。だって498万円なんだもんね」 『はい! まずはこちらをご覧下さい』 「どれどれ」  何かロボットらしくプロジェクターみたいに映し出すのかと期待に満ちた眼差しを向けたのだが、ゴトー君はなぜか指で指しているだけだ、自分の股間を。 『開発者が悩みに悩んだと噂の、伸縮機能です。よりリアルを追及する事を選び、コストはかかりましたが採用されました』 「……はぁ」 『ちなみに白濁ローションも出せます。噴射後に収縮させてズルリと抜き取るリアルを、開発者は提供したかったのです。続きまして』 「続くのか」 『ロボットを人間にただ近づけるのではなく、ラブロボならではの特性を生かすということで、この部分、なんとこんなこと出来ます』  再びゴトー君につられるように視線を股間に向けると、ジャージの盛り上がっている部分が、なんとも形容しがたいウネウネとした波打ちをしていた。 「……」 『ご主人様の驚き、お察しします。益々使いたくなってきましたよね』 「いやちが、」 『では更に披露いたしましょう。この様な動きも可能となっております』  今度はその盛り上がり部分がデュルルルッと激しく振動を開始した。 「うわっ!!」  チカは白いブラウスにコーヒーを溢して項垂れた。 『いかがですか? さっそく今夜使ってみませんか?』 「うん、間違いなく一生使わない。てか、500万円近くする理由がわかってきた。君はとにかく……特化してんだね、ラブロボはラブロボなんだね」 『はい、使ってください』 「ごめんね、私、性欲ないんだ」 『?』  単語の意味がインプットされてないのか、その事自体に理解ができないのか、ゴトー君はまるでキョトンとした様に見返してくる。  ゴトー君には悪いが2週間キッカリ暇潰しと、ダメ元で使えないかお試ししてるだけで、ラブロボとしては未使用のまま返品するつもりでいる。
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