1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
はじめてのおつかい
「き、気をつけていってくるんだぞぉお」
「ふふっ。声が裏返ってますよ、〝お父さん〟」
「うっ…。お、〝お母さん〟こそ、そんな大量なお守りを持たせているじゃないかっ」
「うぅっ。べ、別に…いいじゃない…」
「ぱぱぁー?ままぁー?いってきゅるね !」
「…ごくり」
緊張のあまり喉がカラカラに乾く。
「緊張するのはあなたじゃなくて、〝愛心〟でしょうよ」
さすが、我妻。鋭いツッコミ…。
なんたって今日は5歳になったばかりの愛娘の
はじめてのおつかい記念日だ !!
遡ること5年前。
パパはお父さんになっ…あ、間違えた。
俺は〝お父さん〟になったのだ!
愛娘の名前は〝愛心〟
愛に心…。はぁ…。素敵すぎないかい ?
読み方は、あいこころでなく、あいごころでもなく、あいこでもなくあこでもなく
…あみ !
「あみ…。うんうん。いい名前」
「お父さん。愛心はもう行っちゃいましたよ」
「な、なんだって !?!?!?」
やばいやばいやばい
急に不安になってきちまった
転んでないかな ? 迷子になってないかな ?
変な人に絡まれてないかな ?
考えれば考えるほど嫌な想像が増えていく。
「お母さん!ちょっと行ってくる!」
「え、?」
「いってきまーーーーす !!!」
「ちょ、ちょっとーーーー!」
最初のコメントを投稿しよう!