はじめてのおつかい

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はじめてのおつかい

「き、気をつけていってくるんだぞぉお」 「ふふっ。声が裏返ってますよ、〝お父さん〟」 「うっ…。お、〝お母さん〟こそ、そんな大量なお守りを持たせているじゃないかっ」 「うぅっ。べ、別に…いいじゃない…」 「ぱぱぁー?ままぁー?いってきゅるね !」 「…ごくり」 緊張のあまり喉がカラカラに乾く。 「緊張するのはあなたじゃなくて、〝愛心〟でしょうよ」 さすが、我妻。鋭いツッコミ…。 なんたって今日は5歳になったばかりの愛娘の はじめてのおつかい記念日だ !! 遡ること5年前。 パパはお父さんになっ…あ、間違えた。 俺は〝お父さん〟になったのだ! 愛娘の名前は〝愛心〟 愛に心…。はぁ…。素敵すぎないかい ? 読み方は、あいこころでなく、あいごころでもなく、あいこでもなくあこでもなく …あみ ! 「あみ…。うんうん。いい名前」 「お父さん。愛心はもう行っちゃいましたよ」 「な、なんだって !?!?!?」 やばいやばいやばい 急に不安になってきちまった 転んでないかな ? 迷子になってないかな ? 変な人に絡まれてないかな ? 考えれば考えるほど嫌な想像が増えていく。 「お母さん!ちょっと行ってくる!」 「え、?」 「いってきまーーーーす !!!」 「ちょ、ちょっとーーーー!」
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