1/2
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

 が、九月に入り、俺には思うところがあった。  それで、ある日、帰りに一緒にマックに寄ったとき、みかげに訊いた。 「女にとって、ジョシリョクって大事なのか」  へ? とみかげは、何やら不満そうな目で俺をじろりと見た。 「女にとってというより、男にとってじゃないの?  キミはどうなのさ。  女子力の高い女子が好きとか、そういうのないの? あるでしょ」  しかし俺には、ジョシリョクが何なのか、そもそもよくわからない。 「それって、マフラーが作れたりする女のことを、男が好きになるだろうってこと?」  みかげは噴きそうになったのをこらえた様子で、怒ったように俺を睨む。 「何が言いたいわけ?」 「何って……もし、そうならさ」 「うん」 「俺に、マフラーの作り方を教えてください!」  俺はみかげに頭を下げた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!