1.ビョウハスイハと真具赫焉

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1.ビョウハスイハと真具赫焉

※オメガバース設定に、本小説独自の設定を付加しています。 ※オメガバース及び男性妊娠、性差別等の要素が苦手な方はご注意くださいますよう、お願い致します。 ・独自設定1 αとΩとβが存在し、それに加え特殊な能力が備わっている人間もいる。その能力や威力、効果等は個人差がある。 特殊能力は本人の精神力や肉体の強さも関わっているとされるが、詳細は未だ不明。 ・独自設定2 特殊能力を持つβが後天的にαもしくはΩへと変化した際、特殊能力が強力な威力を持つ物へと変わる場合がある。また、αとΩはβよりも強力な特殊能力を持つ場合が多い。何れも原因や根拠等は不明。 ・独自設定3 特殊能力を取り締まる為の組織が存在する。また、物語の舞台は現代ベース、若干の近未来要素あり。    この世の中は、三種類の人間で構成されている。  αアルファ Ωオメガ βベータ  それぞれの特性や個性に伴うメリットデメリット。特にΩから発せられるフェロモンへの対処法や特効薬の開発等。  オメガバースと呼ばれる特殊性分類に関しては、研究及び解明がし尽くされた。  ――かと思われていたが、更に厄介な事が判明する。  それは人類にのみ与えられ、科学では解明し難いもの。  所謂――特殊能力を有する人間が徐々に顕現してきた事だ。  こちらについてはあまりに常識から逸脱している事象。その為、研究は極めて難航している。難航しているのは研究だけではなく、特殊能力者への対処も同様。  最早普通の人間のみで作り上げた組織では、到底能力者に太刀打ちできない。そんな状況にまで、事態は進みつつあったのだった。    日本内でも特殊能力を使用し、悪事を働く輩が多数存在している。ともなれば、それを阻止する為の組織も自然と創始されるもの。  小さな組織も含めれば数は更に増えるが、日本で有名な組織は全部で3つ。  αとΩとβで形成された警察や自衛隊などといった、国が管理する組織。  対能力者特化組織、ビョウハスイハ。  αとΩが多いが、βの戦闘員も存在している。一般人に不当な形で、特殊能力を行使する犯罪者の制圧及び拘束。一般市民の安全と平和を守ることが、目的となっている。  αとΩのみで構成された組織、真具赫焉(まつぶさかくえん)  ビョウハスイハと同じく、能力者を制圧する目的を持った組織。だが、彼らにはもう一つ重大な目的があった。それはαとΩの恒久的発展と繁栄という理想的な未来。    ごく僅かしかいないαとΩは、常に種として存続の危機に晒されている。特殊性を次世代へと残すためには、とにかく数を増やしていくのみ。  αとΩならば繁殖を確実に成し遂げる事が出来る、そしてその組み合わせのみが正しい。また、出産は本人の意思が尊重されるにしても、迫害の対象とされているΩを保護するべき使命がαにはある。  それが、真具赫焉の考え方だった。  大多数の一般人にとっては、2つの組織は自分たちを守ってくる存在。しかし、ビョウハスイハにとっての真具赫焉は天敵であり、同胞でもある。  ビョウハスイハは基本的にαとΩが、βと恋愛する事を禁止していない。しかし、真具赫焉にとってそれは絶対的な禁止事項。特にΩがβと結ばれることを、真具赫焉は強く嫌悪していた。   『Ωを幸福にする義務が、αにはある。それを妨げるというのなら我々はΩを、我々の正義の名の下において。武力保護という救済を決行する』  真具赫焉という組織の頂点に居る、頭領の声明。未だ組織としての全貌が謎に包まれている真具赫焉にしては、異例の登場だった。  その直後に発生した――Ω強制武力保護事件。    ビョウハスイハに所属する男性型Ω2名が、真具赫焉所属の男性型α2名との戦闘に敗北。  Ωは敗北後、真具赫焉本拠地へと連れ去られてしまった。そして、Ωがαの番にされる様子と――性行を録画した映像。その映像のみが、ビョウハスイハ本部へと送られた。  彼等の生存は、最悪な形で確認される事となったのだ。  以降、犯罪者の武力制圧を目的とする共闘以外での、両者の対立は深まってしまった。真具赫焉によるΩに対する強制武力保護だが、件の2名以外には執行されていない。  しかし、ビョウハスイハ所属のΩが、突如として失踪する事件が発生してしまう現状もある。そこに真具赫焉が関与している疑いが――自然と強くなるのは仕方がない事。    ビョウハスイハと真具赫焉。実質二つの組織によって特殊能力犯罪から、日常が守られている事は確か。  ただ両者の中にも譲れない理念としがらみが存在し、ぶつかりあっていることも確かだった。  
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