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約四十日もある夏休み期間に突入してから、既に二週間が経過していた。
高校生の夏休みは呑気なものだ。
部活をやっているわけでも、来年の受験を見越して塾に通って勉強するわけでもない高二の男子の日常なんて、大した事件も起きない。青春なんてものがそこらに転がっているわけでもなし。そこそこ平凡な高校生である洋平の日常は、クーラーの効いた部屋でスマホゲームをすることで消費されていった。
今日も朝起きたままのだらしないTシャツと短パンのままベッドでスマホを眺めていたが、何もせずとも腹は減る。朝食抜きでよく我慢したものだと思いながら、洋平は部屋を出た。
「洋平、いつまで寝てるの。ちょっとは手伝ってよ」
部屋を出たところで母に出くわし、洋平は思わず目を丸くした。平日は働きに出ている母がいるということは日曜日なのだろう。曜日の感覚を失っていたことに少々戸惑いながらも、精一杯の反論を漏らした。
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