576人が本棚に入れています
本棚に追加
7.☑
無駄と思いつつ……もしかしたらそんな遠くない日の為か、それとも
ずっと先の日の為かは私にも分からないけれど、将来夫の心に
響くようなことがあるかもしれない事柄を申し渡すことにした。
『あなたは彼女に責任を感じているようだけど、私や実の子を捨てでも
あの女のところに行くっていうの?
そして他人の子を育てるっていうの?
誰が考えてもおかしい選択をあなたはするって言うのね』
夫は返事をしない、下を俯いたまま。
それが夫の真意なのだと察した。
泣いて縋ったりしない女が強くて、何度も声高に愛の言葉と縋る想いを
書き連ねる女は守ってやらねばならない弱い女だというのか。
不倫相手のことばかり一日中慮っている夫の姿に、もういいや
こんな夫、父親、私たちにはいらないって思えた。
『ねぇあなた、浮気と思って許そうとした私を振り切って
不倫女のところへ行くのだから、もう二度と私や子供たちには
会えないものと覚悟してるわよね。
養育費もいらない、いいよ。
あなたの給料で2家族の生活の面倒なんてみれないものね。
出て行っていいよ、別れて自由にしてあげる。
離婚届は後日、会社のほうに送るわ』
◇ ◇ ◇ ◇
夫は3日後に身の回りの物だけ持って家を出て行った。
夫は給与が低く、またほとんど預貯金もなく、分けるのに揉めるような
財産もなかっので、その後私たちは本当にあっけなく離婚した。
仲良しの義姉は『馬鹿な弟でごめんなさい』と、謝ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!