So long! さようなら!

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2-2. ☑  夫の不倫を確信した時、私の夫への愛情はなくなった。  あっさりしたものだ。  性分だから仕方がない。  世の中夫の不倫で苦しんでいる女性が多い中、自分は異質かもしれない。  だが子供がいるので少し話し合いというものはしておくべきかと 安直な結論は出さずにおいた。  でまぁ、聞くだけ聞くかと、夫に尋ねてみることにした。 「ねぇ、不倫してるンだよね?」 「なっ、なに? 何言ってんの……冗談?」 「隠さなくていいし、怒ってないから。  ただ知った以上はあなたの本心を知っておきたいの」  私からの言葉に夫が突然頭を垂れ、椅子に座ったままでは あるけれど、土下座するようにテーブルに額を擦りつけて 搾り出すような声で言った。 「ごめん……ただの出来心。  気持ちは遥と子供達にある、離婚だけは避けたい。  相手とは別れるから許してほしい。  今までよりもいい夫いい父親になれるよう頑張るから、だから 今度だけは許してくれないか」  夫から心よりのお詫びを聞いた。  私はてっきり別れて欲しいと懇願されるものと思っていたので、 拍子抜けした。
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