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ソファーでテレビを観ているとスマホから着信音がした。画面を見ると明人だった。
「もしもし、今度はなんだ?」
「悪い、悪い。忙しい時間だから悩んだんだけど、どうしても確認したいことがあって掛けちゃった」
明人はせかせかと話す。なんだろう。
「いいよ、まだ夕飯は出来てないし、気にすんなよ」
「さっき日曜日に会うのは後藤真宙ってラインをくれたよな?」
「ああ、そうだよ。メッセージが残ってるだろう」
「うん、それで妹に訊いたんだけど、その子、病気で死んでるんだよ」
「えっ?」
まさか、一緒に帰って日曜日の約束をした。お弁当を作って持って来るとハッキリ言った。幽霊とは思えない。
「嘘だろ、アイスコーヒーだって普通に飲んでたぞ」
「本当だよ。色が白くて目がクリクリした可愛い子だって言ってた」
それは真宙だ。涼太は何が何だか分からなくなった。
「僕が約束した子の特徴もそうだ。日曜日、確かめてみるよ」
「分かった。下級生に騙されてるんだよ。涼太は素直だから」
明人はそう言って少し無言になった。心配しているのだろう。
「取り合えずショッピングは行くよ。じゃあな」
涼太は電話を切って考え込んだ。後藤真宙というのは嘘なのか。早く確かめたい。
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