プロローグ

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プロローグ

「お前のことが好きだって言ってんだよ!いい加減気付けよ!」  一ノ瀬慎(いちのせしん)は、抑えきれない憤りをそのままに声を荒げた。  怒っているのかそれとも悲しいのか、自分でもよくわからない。  色々な感情が入り混じっていて、言葉だけでこの感情の全てを伝えることは不可能な様に思われた。慎はそのまま口を継ぐんでしまった。    相手は、そんな慎の様子を凝視していた。    驚きで、動けない。しばらく何も言えずに、ただ慎を見つめていた。どのくらいそうしていたのだろう。彼女はそれきり俯いてしまった慎を見て、やがて全てを悟り・・そして表情を曇らせたのだった。  2人の間に言葉は無かった。しかし慎もまた、彼女の表情をみて全てを悟った。    自分は生まれて初めて恋をして、 そしてそれを失うということを。
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