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翌日、気が進まなかったが、茉以は登校した。
クラスに行けば、イヤでも田宮と顔を合わせる。
「どんな顔して会えばいいんだよ」
腫れぼったい瞼で、足取りも重く教室のドアを開けた。
自分の席へ進み、テキストなどを机に入れていると誰かが近づいて来た。
(田宮くんかな)
物憂げに顔を上げたが、そこにいるのは田宮ではなかった。
「おはよう」
「え? お、おはよう。……誰?」
「解んないかな」
その声は。
喋り方は。
「片岡くん!?」
「当たり」
はにかんで笑う智樹は、すっかり変貌していた。
髪形は、ツーブロックのベリーショート。
眼鏡は、コンタクトに。
眉は爽やかに整えられ、制服はぴしりとプレスが効いている。
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