90人が本棚に入れています
本棚に追加
茉以は、喜んで智樹の隣で本を開いたが、そこへもう一人やって来た少年がいる。
田宮だ。
「よぅ、茉以」
(茉以!?)
昨日まで『百瀬』って呼んでたのに!
「なぁ~、宿題見せてくれよ。修旅の感想ってヤツ」
そんな田宮の前に、ずいと出てきた少年は。
智樹だ。
「よかったら、俺のを見せるよ。田宮くん」
「悪いけど、俺は茉以に構ってるの」
「構うなよ。百瀬くんは、俺と付き合ってるんだから」
智樹がそう言うと、田宮はけらけらと明るく笑った。
「茉以が本気で、お前なんか相手にすると思ってンの? あの告白は、罰ゲームだよ」
「罰ゲーム?」
「ポーカーで負けた茉以が罰として、クラスで一番陰キャでキモいお前に告白する、って寸法さ。もう終わったから、忘れろよ」
ふぅ、と智樹は息をついた。
「そんなことだと思った」
茉以は、下を向いて黙っていた。
涙が浮かんでくる。
(僕、何てことしちゃったんだろう)
片岡くん、きっと傷ついた。
後悔しても、もう遅かった。
最初のコメントを投稿しよう!