いくつもの涙の後に【差分】

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 茉以は、喜んで智樹の隣で本を開いたが、そこへもう一人やって来た少年がいる。  田宮だ。 「よぅ、茉以」 (茉以!?)  昨日まで『百瀬』って呼んでたのに! 「なぁ~、宿題見せてくれよ。修旅の感想ってヤツ」  そんな田宮の前に、ずいと出てきた少年は。  智樹だ。 「よかったら、俺のを見せるよ。田宮くん」 「悪いけど、俺は茉以に構ってるの」 「構うなよ。百瀬くんは、俺と付き合ってるんだから」  智樹がそう言うと、田宮はけらけらと明るく笑った。 「茉以が本気で、お前なんか相手にすると思ってンの? あの告白は、罰ゲームだよ」 「罰ゲーム?」 「ポーカーで負けた茉以が罰として、クラスで一番陰キャでキモいお前に告白する、って寸法さ。もう終わったから、忘れろよ」  ふぅ、と智樹は息をついた。 「そんなことだと思った」  茉以は、下を向いて黙っていた。  涙が浮かんでくる。 (僕、何てことしちゃったんだろう)  片岡くん、きっと傷ついた。  後悔しても、もう遅かった。  
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