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しかし、智樹の次の言葉は明るかった。
「じゃあ、改めて今度は俺から告白するよ。百瀬くん、好きだ。付き合ってくれないか?」
「え!?」
「お前、何言ってんだよ。茉以は、俺と付き合ってるんだよ!」
いつの間にか、教室中が静まり返って三人の行方を見守っていた。
田宮が、趣味の悪い冗談をやったことは、クラスのほとんどが知っているのだ。
まさかの智樹の反撃に、みな興味津々だった。
「僕、田宮くんと付き合ってるって言っても、その他大勢なんだ。その程度の僕だけど、いい?」
「俺は、百瀬くんだけの男になるよ。君をその他大勢になんか、絶対にしないよ」
差し出された智樹の手を、茉以はそっと握った。
周囲からは、温かな拍手が沸いた。
「やったな、片岡!」
「百瀬、ナイス判断!」
「お二人とも、お幸せに~」
納得いかずに真っ赤な顔で憤っているのは、田宮だけだ。
いまさら悔やんでも、もう遅い。
「勝手にしろ!」
そう言って二人から離れるのが、精いっぱいだった。
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