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魔女の家は薄暗く気味の悪い森の中にあった。厨では魔女に呪われし猿が竈に火をつけて何か変な匂いのする物を幾つも鍋に入れてぐつぐつ煮ている。
「あれは乞食のごった煮スープじゃ。斯様にわしは家来に食い物を作らせたりして貧しい者弱い者の為に施しをするのじゃ」と魔女は言った後、棚から薬瓶を取り出して、「じゃから安心してこの薬を使うが良い」と言って瓶から取り出した一粒の丸薬を私に渡した。
「それを夫の飲み物の中に入れて溶かして夫に飲ますのじゃ。さすれば、夫はお前さんが美人に見えるようになってお前さんを愛するようになるじゃろう」
「と言うことは私が美人になるんじゃなくて夫の目を欺く訳ですか?」
「そういうことじゃな」
私は自分自体が美しくなるとばかり思っていたのでがっくり来たが、兎にも角にも魔女に礼を言って薬を試すことにした。
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