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 翌朝、夫は目を覚ますと、枕元にいた私に気づいて飛び起きた。 「あ、あんた!誰!」 「私よ、例の化粧をしたの」 「例の化粧?」 「昨晩の晩酌の時に言ったじゃないの」 「えっ、あ、ああ、とすると、お、お前は俺の妻!」 「ほほほ、何を言ってるの、当たり前でしょ」 「そ、そうか、お前の言ってたことは本当だったんだな」 「そうよ」 「す、すげえ!この俺が美人妻の旦那になっちまった!」 「ふふふ、そういうこと。嬉し~い?」 「ああ!降って湧いたような幸福、天国にいるみたいだ。こんな嬉しいことはないぜ!」  という訳で私は夫と共に頗る喜んだのだった。  しかし、そんな幸せも束の間のことだった。なんと夫が私を余所に右隣の家に住む一人暮らしのお婆さんに夢中になってしまったのだ。  私は畑仕事へ向かう道すがら薬が切れたらババア以下かよと嘆き、情けなくなって泣き崩れてしまったところへ、また魔女がやって来た。 「どうしたのじゃ、前よりも酷い泣きようじゃないか!」 「あっ、魔女様、あの薬の効き目がなくなったようで・・・」 「あの薬はちっとやそっとじゃ効き目がなくなりはせんぞ!」 「では何故、夫が私よりお婆さんを好きになってしまうのでしょう?」 「おう、そうだったか、お前さんの夫はわしがやった薬の所為でお前さんより醜い婆さんの方が美しく見えるようになってしまった訳じゃ!」 「はあ、なるほど」と私は諒として泣き止んだ。
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