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 その後、私はまた魔女と一緒に魔女の家に行き、今度は若い女程、美しく見える薬を魔女からもらってそれを試す仕儀になった。  その結果、夫は再び私に首っ丈になり、はあ良かったと一安心したが、またしてもとんでもないことになった。  なんと夫が私を余所に左隣の家に住む8歳の娘に夢中になってしまったのだ。この理由は薬の所為で夫が私より若い娘の方を綺麗と認めたからだと直ぐ呑み込めた。  で、私は魔女の家に行って魔女に訳を話すと、魔女は素知らぬ顔で言った。 「ほう、そうじゃったか、それならばじゃ、お前さん自体を美しくするしかないな」  何だ、そんなことが出来るなら最初からそうしてよと私が不服に思っていると、魔女はいきなり奇声を上げるなり虚空に魔法の杖で輪を描き、その中にサイコキネシスによってガラス器や金属器や陶器を配置し、それらがぶつかり合ったりこすれ合ったりしてヘンテコなリズムの楽を奏で始め、それに誘われるように猿たちが輪の中に入って来た。  そこで魔女は一匹の猿を机代わりにしてその上に液体の薬が入った瓶と空の杯をサイコキネシスによって運び置き、他の猿には松明を取らせ、最後に私を輪の中に入れた。  それから魔女は奇妙奇天烈なまじないを始め、意味不明な事をむにゃむにゃと唱えながら液体の薬を杯に注ぐと、その薬が焔となって燃え上がった。 「さあ、これを飲むのじゃ!」 「えっ!こんな物を飲んだら私は火傷するばかりか燃えて亡くなってしまいます!」 「そうじゃ!」 「そ、そうじゃって私を殺す気ですか!」 「そうじゃ!」 「な、何ですってえ―!」 「ホッホッホ!驚くことはない。殺しはしないから。しかし、お前さんはこれを飲めば、魂はその儘に醜い肉体が燃えて亡くなる。その代わり美しい肉体を授かることが出来るのじゃ!どうじゃ、飲む気になったかね?」  私はまじないの所為で輪の中から出たくても出られなくなった状態の儘、相当迷い悩んだが、松明と杯の炎熱にこれ以上耐えられなくなったし、飲めば熱くなくなると魔女が言うので、もう飲むしかなくなって已むに已まれず飲んでしまった。  すると、何の熱さも痛みも感じずに私は燃え上がって肉体が亡くなり、気づいた時には姿見の前に立っていた。 「どうじゃな、自分の姿を見た感想は?」と魔女が訊くと、私は歓喜と感動の余り鳥肌を立てて驚嘆した。 「すごいわ!これが私なの!?」 「そうじゃ。お前さんは見ての通り美女に生まれ変わったのじゃ!」 「何とお礼を言っていいやら・・・」 「礼には及ばん。わしは当たり前のことをしたまでじゃ。何せ、わしは魔女は魔女でも白魔女じゃからな」 「はあ、そうでございましたか!本当にありがとうございます!」  私は七重の膝を八重に折って魔女に礼を言って夫が飲んだ薬の効き目がなくなる薬ももらうと、重ねて礼を言って魔女の家を出て、これからのバラ色の人生に思いを馳せた。
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