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エピローグ
「結局人間に戻っちゃいましたね。すみません、テストでほぼ百点だと親に自慢していたので、いけるかもって思ったんですが。」
「ダメだったか……。まあ、頭がいい人間が猫になれるとは限らないと分かっただけでも十分成功と言っていいだろう。それより記憶は?」
「家族と周辺の人間の記憶を操作済みです。一度猫に完全変身したので七実さんがいたことに関する記憶を消したのですが、元に戻れたと分かった後すぐ訂正しました。若干一昨日から昨日にかけての七実さんに関する記憶が抜け落ちているかもしれませんが、今のところ支障は確認されていません。七実さんからも猫になった記憶は消しましたから、変な夢を見た程度にしか覚えていないと思います。」
夜、薄暗い路地にリサとボス猫と何匹かの猫が集まって会話をしていた。
普段使っている猫の言葉でも人間の言葉でもなく、話しているのはこの地球上のどんな生物でも理解できない異星の言葉である。
「猫になれそうな人間を見つけて調査するのではなく、猫になる薬を開発したほうが早いのか……?」
「それはキヤツ星の各研究所に直接申請しないといけないので、地球からでは電波が届きません。やはりもう少し粘りましょう。」
「むぅ。他の隊は既にいくつかの星を植民地にしたようだし、我々も急いで地球人を猫に変えねば……。」
難しい顔のボス猫に、リサは励ますように言う。
「まだ一人も猫に変えられていない隊もあるようですから、夜だけでも猫になれる地球人を発見できたのは十分な収穫ですよ! それに一人でも完全に猫になれれば、後は感染状に広がっていくんでしょう? そうなればもうこっちのものですよ。今は日本しか試していませんが、地球にはまだ他の国がありますし。」
「……よし。一時的にでも完全に猫になった七実と類似した体質の者を徹底的にマークするぞ。この地球を我々と同じ猫で溢れさせるのだ!」
「オーッ!」
猫。
その正体は遥か昔に上陸してから地球侵略を狙うキヤツ星という星の住人である。
一見もこもこ癒しボディのこの宇宙人の、次の植民地と化すのは一体どこの星なのか……。
完
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