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うまくバランスがとれず、どうしても四つん這いになってしまう。
そもそもこれじゃあ、立てたところでドアノブには届かない。
やっぱり部屋を出るのは諦めて……いや、窓が開いてる。
どうせ二階だし涼しいからいいだろうと思って開けっ放しにしておいたのだ。
猫だったら……ここから出られたりしないだろうか。
ベッドの上をちょこちょこと歩き、窓枠に手をかけて外を除く。
真っ暗闇の中、月だけが切り取られたように浮かび上がっていて明るい。
そのおかげで、ちゃんと街並みが見えた。
いや……月明かりのおかげにしても妙にハッキリ見える。
あれかな、『猫は夜目が効く』からかな?
すぐ先に隣の家の屋根があるのもくっきりとよく見えた。
あそこなら、飛び移れそう……かな?
距離も近いし、今なら猫だし……よし。
後ろ脚も窓枠に掛けて、一気に跳んだ。
ひぇええっ!?
一瞬、落ちる! と思って心臓が止まりそうになったけど、何とか飛べた。
ふぅ……問題は、これからどうするか、かな。
ひとまず四つん這いと猫視点になれておかないと。
そう思い、私は夜の町の中を歩き出した。
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