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その猫の名前はリサといったので、私も七実ですと自己紹介をする。
リサさんはこの辺では古株の野良猫らしい。
おっとりとしたとても親切な猫で、私に色々と教えてくれた。
「一番古株は一か月前から猫になれるようになった虎猫ですねー。あの人は確か名前が古川さんだったと思いますよ。ラーメン屋をやってらっしゃるみたいなんですけど。」
あの短気な頑固者で有名な古川のおじさんまで猫になったのか!
これは……ちょっと想像が出来ない……。
「それじゃ、一か月前から人間が猫になれるようになったんですか?」
「いえいえー。もっと前から猫になった人間はたーくさんいますよー。でも、皆さんすぐに戻ってしまうのでー。」
「戻る? すぐに?」
「夜に猫に慣れるからって、ずっとそれが続くわけではないらしいですー。なので夜になっても猫になれずに普通の人間に戻ってしまう方が沢山いらっしゃってー。古川さんのように一ヶ月ももってる人間は他にいないですよー。」
「そ、そうなんですか!?」
てっきりこの夜猫ライフがずっと続くかと思っていた。
「まあ、短い方でも一週間は続くらしいですからー。悲観することはないですよ。いつ終わってもいいように、存分に楽しんでおかなきゃ。猫は自由気ままな遊び心動物ですからー。」
ほのぼのと笑うリサさん。
でも、これは……ちょっと予想外だ。
ちゃんと考えないと、下手したら今日で夜猫ライフが終わってしまう!
あ、だけど最低でも一週間は続くんだっけ……?
「あ、そうだー。」
ふわふわとした声で、リサさんが何かを思い出したようなそぶりを見せた。
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