プロローグ

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プロローグ

視界がぼやけている。 「あれぇ……?」 ゆっくりと首を回すと、もや~っとした黒いものが見えた。 ……何あれ。 ああそっか、夢か。 一人で納得していると、黒いもやもやしたものの形がはっきりしてきて、いかにも偉そうな黒猫が一匹姿を現した。 周りにも大勢の猫が揃っている。 何事? 「初めまして。今日は話したいことがあります。」 実に丁寧な口調で言われるが……話したい事? 夢の中で? 「えーっとですね。頼みたいことが一つありまして。」 「二つです。」 低姿勢の黒猫に横から口を出す三毛猫。 「黙ってろお前! ……ゴホン、二つありまして。」 一瞬本性見えたぞ大丈夫か。 「目が覚めた時、猫になっているかどうか確かめてもらいたいのです。」 「はあ?」 「ですからですね、あなたが目が覚めた時、猫になっているのかどうかを。あ、猫になっていたとしても朝には戻りますんで問題ありません。」 「え、ちょっと待ってください。私猫になるんですか? どうして?」 「で二つ目なんですが、もし猫になれたなら、その日の夢で私に報告してもらいたいんです。あ、猫に変わったからと言って自室に引きこもってろ何て言いませんよ。猫になっている間は自由に動いてもらって全然構いません、はい。」 サラッと無視された。 丁寧な口調が逆にイラついてくる。 「ま、そんな感じですので、宜しく。」 「え、あの、ちょっと待……。」 言い終わる前に、夢の中なのに凄く眠たくなってきて……。 私の意識はそこで消えた。
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