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「彩楓、私にできることがあったら、遠慮なく言ってね!
こんな体だけど、彩楓の役に立ちたいからね!」
私は彩楓に対する正直な気持ちを伝えた。
すると彩楓は私に気を使っているのか、
「お姉ちゃん、ありがとう!
お姉ちゃんが近くにいてくれるだけで安心だよ!」
と言葉をかけてくれた。
彩楓は全日本テニス選手権大会女子シングルスの静岡県予選に出場して危なげなく優勝し、全日本テニス選手権大会本選への切符を手に入れた。
全日本テニス選手権大会は有明コロシアムで開催されるが、女子シングルスに出場した彩楓は、予選1回戦と予選2回戦に勝利した。
次に彩楓は決勝トーナメントに出場し、1回戦、2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝と危なげない試合展開で勝利し、決勝へと駒を進めた。
私は彩楓がここまで頑張ってくれるとは思ってもいなかった。
私は彩楓を応援するために有明コロシアムに足を運んで観戦したが、そこには以前の優しい彩楓ではなく、強い意志で試合に臨む頼もしい彩楓がいた。
決勝戦の日、彩楓が選手控室にいるときに私も一緒に控室にいた。
彩楓はいつになく緊張しているようで、私は彩楓の緊張を少しでもほぐそうと言葉をかけた。
「彩楓、勝つことばかり考えなくてもいいよ!
一生懸命やれば、負けても悔いは残らないと思うよ!」
すると彩楓から、
「お姉ちゃん、ありがとう!
でもねお姉ちゃん、今日の試合は絶対勝つからね!
私はお姉ちゃんの夢を叶えるために、今日は全力で戦うからね!
だからお姉ちゃん、私のことしっかり見ていてね!」
と力強い言葉が帰ってきた。
私のために頑張るといってくれる、そんな彩楓の思いが、私はとても嬉しかった。
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