アンハッピー・ピクニック

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「うぉっ。怖ぇぇ」 といいつつ、両腕を擦りながらさっさと鳥居をくぐって奥に進む。境内はすぐ右手側に絵馬掛所があり、カラフルな絵馬がたくさん掛けられていた。 さらにその右奥に、社務所のような建物がある。少し新しいプレハブみたいな建物だった。 ナナオさんは、絵馬って普通、社務所にあるのかな、とつぶやいて、どんどん奥に進んでいく。けれども社務所は当然のように施錠されており、絵馬は置かれていなかった。 「うわ、まじ最悪」 よく考えたら、当然といえば当然。社務所は閉まっていた。というか、そもそもお祭りとか用がないと開けていないのかもしれない。社務所の入り口にも木の葉が積もっていて、しばらく人が立ち入ったような形跡はなかった。 絵馬を掛けた人は持参しているのだろうか? それでもめげないのがナナオさんだ。僕の存在なんかすっかり忘れたように、なんか代わりになるものはないかな、とつぶやき、地面を見ながらうろうろと探し始めた。 枝とかならともかく、さすがに絵馬に使えるような板は落ちてないんじゃないかな。 追いかけようと思ったけどナナオさんはさっさと先に行ってしまう。しかたがないので僕は神社にお参りして、鳥居の真下から改めて夜景を見直すことにきめた。
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