大きな口の、小さな口だけ女

7/7
前へ
/52ページ
次へ
「ボッチー、封印をといたら大変なことはわかるんだけどさ、せめて手紙のやり取りとか、様子を知らせるとか、できないのかな、あの子、悪い子じゃなさそうだし」 手紙……か……。 なんだか、ナナオさんは『口だけ女』という怪異じゃなくて、近所の子どもみたいに思っているように感じる。悪い子じゃないといいつつ、さっき襲われたんじゃないの? 「あの、さ。私らも封印のことはよくわかんないから、とりあえず神社の中調べてみるよ。うまくいくかは全然わからないから、期待せずにちょっと待っててくれるかな?」 さわさわと優しい風と一緒に声が届く。 「……お姉さん。ありがとう」 少しだけ嬉しそうな、女の子の声が風に乗って響いた。 次話【地神の暇つぶし】
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加