口だけ女と夜食をともに

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その後も僕らは境内をうろうろ歩き回る。さい銭箱、手水舎(ちょうずや)、井戸、鳥居、狛犬、灯篭。一通り調べてはみたけど、どこにも文字の記載はなかった。 「うーん、ちょっと手詰まり、どうしたもんかなぁ?」 「やっぱり、無理なんじゃないの? そもそも封印がどこにあるのかもわからないし」 「そうはいってもさ、私の勘が、何とかなるといっている」 ナナオさんは断言する。ナナオさんの勘はわりとあたるからなぁ、いい方と悪い方と均等に。 仕方がないので、口だけ女の子のところに戻って、作戦会議を続けることにした。 僕は口だけ女状態を見てないし、声はかわいかったから、時間がたつとなんとなく怖さは薄れていた。 でもナナオさんは口だけ女状態の姿を見ている。怖くないのかな、怖いんだろうな。でも多分怖い以上に、なんとかしてあげたいっていう気持ちが勝っているんだと思う。
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