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僕はハフハフとラーメンをすするナナオさんにいれたてのコーヒーを渡しながら考える。
女の子とお母さんは一緒に封印に入って、同じ封印の中にいて、女の子はふもとから出て来た。お母さんは山の上のここにいる。
あれ?
『……新谷坂山はいい山で、昔えらい人が超悪いのをたくさん封印して……』
というナナオさんの言葉を聞いて、僕は新谷坂山は霊山なのかなって思った。
ひょっとして、山全体が封印で、ふもとも神社も含めた山全体で『わるいもの』を封印しているんだろうか。
『トンネルを掘る話』があって、進めてたらなんかよくわかんないけど『わるいこと』が起こった。
そうすると、山全体が封印で、山を掘ったら封印に行きつく……? なんだかすごく規模が大きくなってきたな。
僕はその仮説をナナオさんに話す。僕らに山を掘るなんてできない。それに、そもそも僕らは封印を開放したいんじゃなくて、手紙とか何かつなぎをつけたいと思っているだけだ。
ちょっともう手におえるレベルじゃないと思う。女の子にもそう告げようと思ったとき。
ナナオさんはパチっと指で音をならした。
「ナイス、ボッチー! やるじゃん!」
え、今の話のどこにそんな前向きになる余地があるの。スコップとか持ってきてないよ。
「ようするにさ、山の地面の中に封印があるわけだろ? 地面の中に入ればいいわけだよな」
そういって、ナナオさんが指さしたのは、境内の井戸だった。
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