高校1年、デビュー失敗

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僕とナナオさんは怪談話が好きっていう共通点もあったから、時々ナナオさんが僕に話しかけてくる、という関係に落ち着いた、気がする。それからナナオさんは『ボッチ』という発音が気に入ったらしく、僕が嫌がらないかを確かめてから、僕をボッチーと呼ぶことに決めたようで、今もナナオさんからはボッチーって呼ばれてる。当然ながら、他の人からは呼ばれていない。 最終的に同級生との関係も悪いって感じでもなくて、ちょっと距離を置かれたくらいで落ち着いた。話しかければ普通に会話するけど、わざわざ話しかけても来ないという、僕の希望とは少し違う結果。 さて、冒頭に戻って、僕が怪異の扉を開けたのは4月の終わり、ゴールデンウィーク直前で、その話はナナオさんが持ってきた。クラスがゴールデンウィークに沸きたって、なんとなくみんなそわそわしていたころだと思う。 でも、ナナオさんが持ってきたのは、怪奇現象の話だった。 「なーボッチー。新谷坂山の封印の話って知ってる?」 これが、僕が開くことになってしまった怪異の扉の始まり。 新谷坂山はこの学校が建っている山だ。 ナナオさんと同じく怪談話が大好きだった僕は、思わず答えてしまう。 「えっ何それ! どんな話?」 次話【新谷坂山のヤッバイ封印】
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