新谷坂山のヤッバイ封印

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ゴールデンウィーク初日に、夜のピクニックを約束する。ナナオさんは「やたっ」と小さくつぶやいて、嬉しそうにキュッと手を握りしめた。 そして、あそうだ、と言って、思い出したように怪談を一つ付け加える。 「もひとつ、これは怪談じゃなくて事件かな。その工事しようとして以降、不審死がいっぱい出てるんだって。野犬か何かに喰われたみたいな死体が何年かに1件出てる。一応襲われるのはいつも一人でいる人で、複数人いるときには被害者は出てないようだけど、気をつけような」 ナナオさんは最後に爆弾を落として教室を出て行った。ちょっと、そっちの方がよっぽど重要なんじゃないの? ひょっとして僕の役目は野犬除けなのかな。 ナナオさんが教室から出るためにガラリと開けたドアから廊下側の窓が見えた。 たまたまなのか、そこを歩く人影はなく、日が陰った新谷坂山の斜面はちょっとだけ不気味に見えた。
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