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「目的…には……間後…予定です…」
何か遠くから声が聞こえてくる。
声にはエコーがかかっていて、微かに聞こえる中だけでも丁寧な口調だとわかる。
ドンっと突然背中に衝撃が走り、目が覚めた。
ここは椅子?私は椅子で寝てたのか。
「ちょっと」
後ろから、苛立ちを抑えた声が聞こえてくる。
後ろを覗くと、年配の男性がきつい視線でこちらを見ていた。
席を倒しすぎたんだ。
「すみません」
と誤って慌ててリクライニングを戻す。
「あれ?」
この感じは。
私はいつの間にか、
飛行機のシートに座っていた。
あれ、どこに行くんだっけ。帰省の予定だったっけ。
ぼんやりとした頭でぬるりと考える。
今何時だっけ…?
そこまで考えたところで、ここが窓際の席だということに気がついた。
なんとなく窓の外を覗いてみる。
あれ、景色が見えない。これは、なんだ、床…?
微かに窓の外から声が聞こえてくる。
「セール品…この一色…残っちゃ……のカラーが本当に綺麗なんですよ〜!」
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