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ミッド・ナイト・ラブ
愛依が泣いている。
原因はわかっている。あの男だ。温厚を絵に描いたような気性の僕が、唯一大嫌いな男。確か、名前をミツダといったかな。下の名前までは覚えていない。というより、大嫌いな奴の名前を覚えるための脳内キャパすら惜しいってもんだ!
ミツダはいわゆる、メイの彼氏と呼ばれるポディションらしい。職業は出版社に勤める編集者。絵本作家のメイとは、仕事を通じて親交を深めたようだ。
メイが初めてミツダを自宅に招いた日、僕は雷にでも打たれたような衝撃を受けた。僕とメイが出会って五年。僕は知り合ってすぐにメイへ一途な愛を捧げていたし、メイも同じ気持ちだと散々語ってくれた。この家は僕とメイの愛の巣なのである。そんな僕達の愛の巣に、どこの馬の骨とも知れない男を招くなんて! いやいや、その前に、僕という恋人がありながら、浮気は駄目だよメイ。
ミツダがやって来て、メイといちゃいちゃする日は決まって座りが悪い。要するに不機嫌なのである。最初は食事を残すという無言のアピールを続けていたが、メイがあまりにも心配するのでやめた。嫉妬から相手を困らせる態度をとるなど、二流、三流の男のすることである。そこへくると僕は一流だ。血筋だって由緒正しいのだ。
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