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みつきさんは私の前を通り過ぎて数歩歩いたが、立ち止まって振り返った。
「あのっ」
「お久しぶり」
「お知り合いですか」
うちの広報の部長がみつきさんに聞いた。
「ええ、昔の友人なんです、少しお話できますか」
みつきさんは彼に返事をすると私に尋ねた。
「はい」
「良ければうちの応接を使って下さい、君は場所、わかるね」
「はい」
「それでは、私はこちらで失礼します、来週、宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
「ここで働いてるんだ」
応接室に入るとみつきさんは立ったまま私を見た。
私もみつきさんを見る。
しばらくそのまま見つめあった。
まるで何かの答え合わせをしているみたいに私は彼をみた。
奥二重の涼し気な目、ふくらみのある唇、スッと通った鼻、綺麗に揃えられた眉
「なんていうか…」
深いため息をついた後、みつきさんが笑った。
「武志が言ってたけど、本当だね…大人になった」
「お会いした時から既に大人でしたよ」
「そうなんだけどね、なんていうか…綺麗になった」
顔が真っ赤になる。
みつきさんにそんな事を言われるなんて考えられなかったから。
「これから取材が2つ残ってるんだけど、その後に会えないかな」
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