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羨ましい、というのは…みやびさんと結婚したかったという事だろうか
みやびさんとみつきさんは並んでみてもすごくお似合いだった。
みやびさんを好きだったんですか、と聞きたいけど聞けない。
そうだ、と言われれば辛くなりそうだからだ。
私、やっぱりずっとみつきさんの事が好きだったんだな。
ずっと忘れてたと思っていたけどやっぱり駄目だ。
みつきさんを見ていたら気持ちが前みたいに溢れて来る。
みつきさんもじっと私を見つめていた。
ちょうどその時ラウンジのウェイターがラストオーダーを聞きにきた。
時計を見ると10時になる。
すでに遅い時間だった。
普通ならこれ以上お邪魔するのは失礼だろう。
でも気持ちがついていかないから何も言えなかった。
「また時間ある?」
みつきさんはオーダーを断ると私に聞いた。
「久しぶりだし、もう少し話がしたいんだけど」
みつきさんの部屋はわりと広めのだった。
テーブルやベッドサイドにスマートフォンの充電器や黒いポーチやラップトップのパソコンなどが置かれていた。
劇場で会った時に着ていたジャケットがハンガーにかけられていて、とても大きいサイズのシルバーのスーツケースが部屋の隅に置いてあった。
大分と使い込んでいるのかあちこちに傷がついている。
男の人の部屋だ。
そう思った。
みつきさんは私を窓側に置いてあるソファへ案内した。
「何か飲む」
「下で飲んでましたから」
「そうね」
みつきさんは備えつけの冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すとキャップを外し、飲んだ。
「髪がもつれてる」
そういうと、私の髪を指でスッとといた。
「そんなに緊張されると傷ついちゃうな」
笑いながらみつきさんは言った。
「懐かしく思ったのは私だけだった?」
「そんなことないです、声をかけて頂いてすごく嬉しかったです」
「じゃあ教えてくれる?今のあなたの事を」
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