みつきさんの思惑

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公演を観に武志さんとみやびさんがやってきた。 みやびさんは用事があるから、と先に帰ってしまったらしいが武志さんは事務所に寄ってくれた。 「久しぶりだね、前に会ったのはいつだったっけ」 劇場にほど近いレストランで会った。 武志さんはあの頃と変わりなく気さくで話易かった。 「すっかり社会人らしくなって、みやびがいなかったら気づかなかったよ」 そういえばみやびさんが私の手をいきなり握ったのだった。 化粧もしていなくて、髪も服装も気にしてなかった当時の私と今とは全く違っていただろうに、よくわかったものだと思う。 「まあ、あいつのみつきセンサーが動いたんだろうな」 武志さんは笑った。 「可愛子ちゃんは昔からみつきのお気に入りだったから」 そうだったのだろうか。 ファンサービスだったのだろう、と思っていた。 みつきさんはスキンシップが誰とでも出来るタイプだから。 「当時パリにいたみつきにその事を話したら羨ましがってたよ、いつどこで会ったのか聞かれてさ 前みたいに簡単に探しにいける距離ではないのにさ」 探しにいける距離…探してくれた事などあったのだろうか。 「それで、本題に入るのだけど公演の後、鍵を渡しに来たんだ みつきはそんなに荷物はないけど君は女の子だから前もって持って行きたいものとかあるだろ う いつでもいいから使って」 武志さんは私に鍵を渡した。
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