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殺し屋、はじめました。
え?なんでかって?
別に大した理由じゃないのよ、いやホント。
どこにでもあるような些細なきっかけ。誰にでもあるようなつまらない考え。
ある日の夕方、職場で上司にこっぴどく説教されたんだ。小一時間ほど。そりゃあもうとんでもない剣幕で、フロア中の人の視線が俺と上司に集まったもんです。
内容もこれまた大したことなくて、態度が悪いとかやる気が感じられないとか、そんな感じのふわっとした精神論。
これがもっと明確にミスをしでかしたとか、会社に損害を与えたとかだったら、こっちも申し訳ない気持ちで胸をいっぱいにできたってもんなんだけど。
こうもピンとこない部分を攻め立てられると、こっちもどんな気分で応対すべきなのかさっぱりわからない。
それでも最初はなるだけへりくだった態度を貫いたんだ。徹頭徹尾、頭をぺこぺこ。でも一時間近くもガミガミ言われ続けたら、さすがの俺もむかっ腹が立ってきちゃってさ。
その時思わず考えちゃったもんね。
ああ、この上司死なねえかな。
ってさ。
え?それが殺し屋はじめようとした理由?うん、そうですよ?
これ以上の理由なんてほんとありません。
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