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親切な女性
人間界らしき場所へ着いた。美しい色とりどりの照明が灯り、いろいろな人間たちが忙しそうに歩いていた。
テキストによると、まず最初の行動としては、体調がすぐれない様子で街角にうずくまること。私は可愛い猫のオブジェを発見、その横にうずくまっていた。すぐに、私の母よりもっと年上らしい女性が声をかけてくれた。
「大丈夫?お腹痛いの?」
「ええ・・」
私は答えながら、どうしようか迷った。病気を完治させるために最も望ましい血液は、若い人間の異性の血とされている。が、この際、そんな贅沢は言っていられない。とりあえず誰でもいいから仲良くなってみようと思った。
彼女は優しく私の背中をさすりながら言った。
「あなた・・・何も持っていないけど、お住まいは?この近くなの?」
「いえ・・・ちょっと事情があって・・・家に帰れないんです」
テキストに従い、私はそう言った。すると彼女は意外にも、こんな親切な言葉をかけてくれた。
「まあ・・・家庭内暴力とか?あ・・・言いたくなければ何も答えなくていいのよ。困ったわね・・・もし・・・よかったらですけど・・・今夜は私の家にいらっしゃる?あまり立派な家じゃないけど。家族もぞろぞろいるけど・・・あなた一人くらい寝る部屋はあるわ。」
「ありがとうございます。本当に、お言葉に甘えてしまっていいんですか?嬉しい。助かります。」
テキスト通り、私は涙を浮かべて感謝し、何度も何度も彼女に頭を下げ、彼女の重そうな荷物を半分持って、彼女の家までついて行った。
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