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結局・・・
その時、コンコンとドアがノックされると同時に開き、シローがアコースティックギターを持って部屋に入って来た。
「アッ!ジロー・・・てめぇ何やってんだよ」
シローはいきなりジローに殴りかかった。
「やめてっ!やめて下さい。私がいけないの。私が泣いていたからジローさんは慰めて下さっただけ・・・」
咄嗟に私はそう言った。
「まったく手が早いんだから。弟として恥ずかしいよ。」
シローは吐き捨てるように、そう言ってジローを睨んだ。
ジローは苦笑しながら言い返した。
「で?おまえは?得意のギターでウットリさせてエマちゃんのハートを盗み取ろうという訳か?」
「慣れない環境で寝付けないかなと思ったから、静かな曲でもと・・・」
その時、ドアの向こうに立っていたゴローが少し苛立ったように言った。
「兄さんたち、悪いけど静かにしてくれないかな?うるさくて勉強に集中できないよ。」
するとゴローの後からイチローもサブローもやって来て、サブローは楽しそうにハシャイで言った。
「何?何?何、楽しそうなことしてるの?僕も仲間に入れてよ」
とうとう、お父さんとお母さんも現れ、ゴローの勉強の邪魔になるので、みんなで一度、食堂で話をしようということになった。ゴローは真顔で
「よかった。明日、塾で大事な試験があるんだ。」
と言って、自分の部屋に戻った。
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