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いい人たち
お父さんは目を細めて私を見ながら心配そうに言った。
「本当にごめんなさい。まさか息子たちが、こんなハイエナみたいにエマちゃんに群がるとは思ってもみなかった。おまえたち、夜遅く女性の部屋に入るなんて失礼だと思はないのか?」
するとジローはサラリとこう言った。
「若い男がこれだけ揃っていて、誰一人エマちゃんの部屋を訪れない方が失礼だと思うよ、父さん。」
「何だと?てめぇ・・・許せねぇ~・・・ああ、こんなヤツが俺の兄貴だと思うとヘドが出そうだ!」
シローは大声を上げた。
サブローはケラケラと笑い
「やっぱジローアニィはオモロイやっちゃなぁ!」
とジローの肩を抱いた。
イチローは爽やかに微笑みながら厳しいことを言った。
「エマちゃん。僕が思うには、エマちゃんの事情、やっぱり少しでも話して聞かせてくれないかな?そうじゃないと、こんな風に、仲の良かった兄弟たちが憎しみ合ったりしてケンカになってしまう。みんな、エマちゃんが心配なんだ。真剣に、エマちゃんの力になりたいと心から思っているんだ。」
お父さんは私の困った顔を見て、気遣ってくれた。
「イチロー、今夜はエマちゃんも疲れているだろう。もう遅いから、みんな寝て、話の続きは明日でいいんじゃないのか?」
こんなにいい人たちを困らせて、私は何か申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
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