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いや、キッツイ
最初の甘酸っぱい風味からの、この甘ったるさ。正直ムリ。
「お気に召さなかったでしょうか?」
私の表情を見たバーテンが声を掛けてきた
「好みでは、なかったかな。あ、でも良かったですよ。私には、こういう経験なかったので」
私はメニューへと視線を落とした。
記憶を直接経験させられた状態で、平静を装えるような演技力は持ち合わせていなかったから
「えっと、このハイドアンドシークを」
「こちら、苦味と恐怖が強めの商品ですがよろしいですか」
「あ、はい。大丈夫です」
私の中の気持ち悪いくらいの甘さを紛らわせるならなんでも良かった
「では、失礼します」
バーテンは真っ黒な容器から、私のワイングラスに再び雫を一滴、滴下した。
たった一滴にもかかわらず、鼻を歪めるほどの匂いを含んでいた
失敗したかも、と思いながらも頼んでしまった以上仕方がない。
私はその雫を口の中へ迎え入れる
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