バー・雫

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 いや、ベタ!  あまりにも想像通りすぎて、怖くも何ともなかった 「こちらも好みに添えなかったでしょうか」 「い、いえ、そんなことは」 「申し訳ありません」  私は否定したが、表情に出てしまっているのだろう。バーテンはキッチリとした動作で頭を下げてくる 「いえ、ほんと大丈夫ですから。顔あげてください」  バーテンはゆっくりと顔をあげた 「しかし、お客様に満足して帰っていただくのが私の務め。お客様が満足頂ける雫に出会うまでは、私からのサービスということにさせて頂きます」  そう言うとバーテンは、いくつもの容器を私の目の前に並べた  そんな事をされると悪目立ちしてしまうのでは、と思ったが、客は皆思い思いに泣いているのでこちらに気がつく様子はない  
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