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半刻ぐらいが経過し、話すことも無くなったのか女は帰っていった。それも、彼女の態度が気に入ったのか、会話が楽しかったのか、やたらルンルンと。
「おい、もうあの女には調査報告書を何遍も提出してんだよ。
それも浮気は不実でしたってな」
思い返せば、もう一ヶ月程の付き合いにうんざりする。出て行ったドアを見つめている彼女に無駄だと告げると不思議そうな顔を返された。
「え?じゃあ、なんで何度も来てんの?」
……そんなの俺の方が聞きたい。何回伝えれば納得してくれるんだよ。
「さぁな、俺に気でもあるんだろ」
「ははっ、なんだそれ」
事実だろ、そう思いながらもケラケラと笑っている姿を見つめていると、試すような目つきでじーっと見られた。
「ね、あの人、子どもいない?
それも……、中学生とか高校生ぐらいの」
は?なんでそんなこと……
だが、そう言えばそういう話をされたことがあったかもしれない。
「あぁ……、高校3年生の娘がいると言っていた」
やっぱり!っとでも言うように彼女はニコリと笑った。んじゃ、明日会いに行ってみよ調査調査〜っと無邪気に張り切っている様子に呆れる。
「そいつ、どこの高校に通ってんのか分かるのかよ。
……あぁ、あの奇妙な力使えば一発か」
「いやぁー、その必要はないんじゃないかな?何せ私の前には探偵さんがいるからねっ!
働けー!信用してるよー!」
探偵ごっこを楽しんでるのか、妙にテンションが上がっている彼女は座っている椅子をぐるんぐるんと回している。
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