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毎日そんなふうに過ごしていた。
朝起きて、飯食べて、大学いって、帰ってきて、風呂はいって、寝る。
飯は朝しか食べなくなった。空腹を感じなくなったのだ。
大学の講義や実験も、ただ言われたことをメモするだけ、やるだけ。
前と変わらない生活。
変わったことといえば、誰とも話さなくなったこと、笑わなくなったこと、くらいかな。
なんか、つまんないな。
周りの人、景色、すべて灰色に見える。
こんな生活いつまで続くのかな。
講義が終わり大学を出る。
いつもならそのまま自分の部屋があるアパートの方へ向かうが
なぜかそのまま最寄り駅の本郷三丁目駅に来ていた。
このまま適当なとこ行って
行方をくらまして
溶けて消えてしまいたい。
何も考えずに地下鉄に乗る。
乗り換えアナウンスのあった駅で適当に乗り換える。
何線の、どこ行きなのか、さっぱりわからない。
適当なところで降りた。
多分そんなに遠くまでは来ていない。
『三郷中央、三郷中央。この電車は区間快速─』
ホームドアがあるので比較的新しい駅だろう。
改札を出ると、雨が降っていた。傘なんて持っていなかったのでそのまま外に出た。
風も強い。おそらくあたりにほとんど建物がないからだろう。近くにいくつか高めのマンションが立っているだけだった。何もない街だ。
近くに公園があったのでそこに立ち入った。
三郷中央なんて聞いたことも無い。自殺の名所でもなんでもなさそうだ。
はは、なんかバカみたいだ。
せめてもう少しちゃんと考えてくればよかったな。
そのままそこに寝っ転がった。
こうやって雨に打たれるのもたまにはいいな。
こんな雨の日に公園にくるやつなんて誰もいなくて、公園には俺一人だった。
…。
体が冷えてきた。
今は6月だが、流石に雨に打たれてると冷えるな。
ああ、ひょっとしたらこのまま低体温症で逝けるかも。
目を閉じようとした時
「何してるんですか?」
誰だ…?
そう聞こうとした時、俺は意識を手放した。
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