第2話<シュン>

3/3

689人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
は? いつもはあっさりとしているシュンが今日はやたらと絡んでくる。 「この間、偶然見かけたんだ。たつやと猫っ毛の可愛い子猫ちゃんが並んで歩いているところ。」 「学生服とか可愛いよね、だからさ、オレにあの子をダブらせてるのかな?って、思ったわけ」 勘の良さに参った。 シュンのことは別に好きとかそういうことではなく、まして恋人でもない。 単に、毎回相手を探すのが面倒だし、雰囲気が京太に似ているから時々セックスをしてる。 シュンも、俺をセフレの一人として考えているから気が楽な相手だ。 「アレは関係ない」 そう言って帰り仕度をする俺の手を掴んで 「あの子の代わりでも良いって思うくらい、あんたのこと本気なんだけど」 普段はフワフワとした印象のシュンが真面目な顔で俺を見る。 まずい 俺は誰とも本気で付き合う気は無い。 今までも、体だけの相手はいたが相手が本気になったら関係を終わらせて来た。 シュンはそういう事はないと思っていたのに もう、続けていくのは無理だろう。 「悪いが、シュンの気持ちに応えることは出来ない、関係もこれまでにしよう」 そう言うと シュンは慌てて 「別に、この先何か特別なことをして欲しい訳じゃない、今までと同じでいいんだ」 「最初の約束だ、どちらかに本気の相手ができたら関係を解消する、だからこれで終了にしよう」 「それから、あの子は俺の息子だ」 そういってホテルを出た。 ちょうど潮時だったのかもしれない。 シュンを京太にみたてて抱き続けることに罪悪感を抱いていた。 京太は、諒、俺の従兄で初恋の人の息子だ。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

689人が本棚に入れています
本棚に追加