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諒が結婚する前に俺の元に来た。
俺のことが好きだったと、俺を忘れるためにバイトの先輩女性に誘われるまま一夜を共にしたらその女性が妊娠をしたということだった。
一度だけ抱いてほしいと、そうすればちゃんと子供の父親になると言った。
お互い思いは同じなのに、二人とも言いだせなくてすれ違っていた。
俺は裏切られたような気持ちになって、乱暴に諒を抱いた。
諒はずっと愛してるとささやき続けたが俺は最後まで無言を貫いた。
俺は高校生で精神的にも子供だった
あの時
俺も愛してると伝えたらどうなっていただろう。
結局、翌朝目覚めると諒の姿は無かった。
その後、意地になっていたのかもしれない、諒が子供が生まれてすぐに離婚したと聞いても会うことをしなかった。
再会したのは諒の通夜の日だった。
棺の前で必死に涙をこらえている少年がいた。
諒の面影をのこしたその少年に聞こえるように親戚連中が少年の処遇を話していた。
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