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 オレはギターが気になってしょうがない。 「このギターは?」  店長は小さいアンプをゴミ置き場に置いた。 「飛び入り演奏用の楽器なんだけど、壊れてるの。古着屋のスペース作らないといけないから片付けてるの」  確かに、よく見るとペグ(弦を巻くやつ)が取れかけてるし、ピックアップも錆びていた。 「捨てられる楽器って、かわいそうっすね・・・」と、オレ。 「でも、こんなんじゃメルカリでも売れないよ」と、店長。  ギターを入念に調べていたM。 「店長、このギターとベース、ぼくらに譲ってくれませんか?」 「もちろんいいけど。修理できるの?」 「やってみます」 「じゃあ、このアンプもいる?」 「はい!」 「Mくんもバンドを?」 「いずれ。まだこいつとふたりですけど」 「君はイケメンだし、人気でるよ。うちも、君らがいつかステージに立つ日まで、店を潰さないように頑張るわ」  君って、オレも一応イケメンってことか?ウレシィ!この店長、ちょっとおネエっぽいのが気になるが・・・。  というわけで、Mとオレはボロボロのギターとベース、そしてアンプを手に入れた。店長は「これ、お餞別」と言って、ギターとベースの新しい弦をくれた。
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