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「お前、修理できるの?」と、オレ。
「さあ・・・」と、M。まあ、Mは優秀だから、およそ人類ができることなら何でもできるだろう。
「誰かDIY得意な人いたっけ?」と、オレ。
「まあ、ぼくの知ってるのは、技術の先生くらい・・・」と、M。そりゃプロだ。
ということで、オレらは学校に向かった。技術室のドアを叩くと、白衣を着た初老の先生が出てくる。髪はボサボサ、ど近眼、一見マッドサイエンティスト風。Mは経緯を説明する。
先生は無言でハンダゴテの電源を入れ、電圧計やら何やらで断線の箇所をチェック。Mも無言で助手を務めている。まるで優秀な外科医が手術をしているみたいだ。オレは見てるだけ。どうやら最初の手術は無事に終わったらしく、Mがオレにギターを手渡す。
「弦、張っといて」
そういうと、ふたりは本日2例めの手術に取り掛かる。しばらくしてベースも蘇ったらしく、オレは弦を張ってネックの反りを直し、オクターブチューニングする。最後にアンプが手術台に上がり・・・なんと、ものの1時間くらいで捨てられる運命だったギターとベース、そしてアンプは蘇った。ライブハウスで何年も使われた傷だらけのボディー・・・カッコいい!
オレらは先生にお礼を言い、技術室を後にした。
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