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学校の中を、イケメンのMがギターを持って歩いているもんだから、通り過ぎる女子の目が釘付けになる。ふたりでベンチに腰掛けてしばし語らう。
「楽器が手に入ったし、なんかバンドしたくない?」と、M。
「オレも同感・・・でも、メンバーは?」
「ぼくはギターしか弾けないし」
「まあ、お前がギター兼リードボーカルは決まりだな。じゃ、オレがベース弾くわ」
「弾きながらハモれる?」
「ちょっと歌ってみて」
Mがギター弾いて歌う。上手いねえ・・・ちょっと離れて女子がこっそり見てる。オレの歌なんか本当はない方がいいんだが、しょうがない。ベースラインを適当に弾きながら歌ってみた。
「歌えるみたい。オレ、ベースがいいかも。そもそもギターって弦が多すぎて、あんま好きくない」
「ピアノの方が弦は多いじゃん」と、M。ちなみにオレは小さい頃からピアノを習ってる。
「あれを全部自分でチューニングしろって言われたら気絶する」と、オレ。
「ベースライン弾きながら歌えるってすごいね」
「頭んなかで、ベースがヘ音記号で歌がト音記号なんだろうな」
「じゃあ、これでギターとベースは決まりか。ドラム・・・叩けるやついるかな?」と、M。
「いないねえ・・・キィ子に相談してみるか」と、オレ。
キィ子とは、オレらの担任でもある音楽教諭。バッハとショパンとリスト(さま)しか認めず、すぐにキィキィ言う偏った音楽性の持ち主。と、思ってたら、オレらの書いた曲をキャロル・キングばりに弾き語り、ただいま株価急上昇中。ちなみにおばちゃんだが結構美人で、オレはちょっと心惹かれている。まあ、字数が限られているので詳細は前回を参照してください。
で、オレらはベンチを立ち、ぶらぶらと音楽室の方に向かった。
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